俺と「鴛鴦歌合戦」

高槻セレクトシネマで『鴛鴦歌合戦』見てきましたよ。
午後十時前からのスタートということもありお客さんが少ないのかなぁとも思っていましたがそこそこお客さんが入っており、リアクションの良いお客さんと一緒にいい雰囲気の中でいい映画を楽しめたなぁと感じた1時間強でした…。



(この映画の殆どが集約されているといっても過言じゃない冒頭のシークエンス)



この映画の構成要素
・隣に住む恋人と親同士の決めた古い許婚と金持ちの令嬢がぶらぶらニート(浪人)の生活を堪能している主人公(?)を取り合うラブコメ的展開
・趣味(骨董収集)と美女(幼馴染や金持ちの令嬢に一目ぼれ)が大好きな馬鹿殿とその取り巻き(当然みんな太鼓もち)
・道楽(こいつも骨董収集大好き)が大好きな貧乏浪人親父とそんな親父をけなげに支える娘(上述の恋人)
・当然ながら馬鹿殿も道楽親父も悪賢い商人に目利きの無さを舐められて騙されまくり
・馬鹿殿の暴走(主人公の幼馴染を手篭めにするぞー)からの主人公無双
・随所に挟まれる底抜けに楽しいミュージカルシーン
・ラストはちょっといい話的な〆


うん、これらの要素だけを抜き出して見ていくと、我々が思っているベタな時代劇のイメージそのまんまの映画だと思いますよ。でも、だからこそ多くの人が同じシーンで笑ったり、しんみりしたり、スカッとしたり…といった同じ感情を共有できて、一体感の中で映画鑑賞できるのかなと思います。それにベタな映画だからといって、本質的にその映画が優れていないわけでは決して無く、志村喬をはじめとした役者陣のコミカルな演技、それに拍車をかける底抜けに明るくて楽しい楽曲の数々、アクションシーンできっちりきめる片岡千恵蔵などが相乗的に絡み合って、これぞまさにエンターテイメントという形に仕上がっていると感じました。
よく、戦前戦中戦後は映画こそが唯一の娯楽だったという話を若造の私も時より耳にしますが、こういった作品を満員の劇場でみんなで笑いながら見ている状況を想像すると、まさに映画が娯楽の王道であった素晴らしい時代があったのかなと思ったりもします。(それだけに閉館直前の高槻セレクトシネマでこの作品が上映されるのが寂しい…)


あと1日(9/28の夜)だけ上映の機会があるので、未見の方でスケジュールの都合のつく方は是非劇場に足を運んでもらいたいと思いました。