俺と2012年上半期の映画

 2012年も半年が過ぎ、「今年はかつてないほどのペースで映画見てるよな」毎年のように思ってる私ですが(映画館で映画を良く見るようになったのはつい2、3年ほどのことなので…)、自分にとっての備忘録という意味で上半期の映画について(と私が常日頃思ってることを)まとめてみましょう。


Q.上半期で何本映画見たの?
A.新作映画で106作品、旧作の特集上映や映画祭で見た作品が14作品です。
 なお、複数回見た作品もあるので映画館で映画見た回数は122回です…。上半期が182日なので単純計算で、3日に2日は映画館に行って、何かしらの作品を見てる計算になりますね。(実際はハシゴしてる日もあるので、そんなに毎日行ってる訳じゃないですよ!)


Q.なんでそんなに映画館で見てるの?家でDVD見ればいいじゃん!
A.私は映画館で見たほうが楽しいと思う派なので!
 上にも書きましたが、実際昔はそんなに映画館に行ってなかったです。それよりも週に1,2本DVDを借りてきて、部屋の小さなテレビデオで鑑賞するのが専らでした。でも、今から4年前に「ダークナイト」を映画館で見たときに、「映画館に行けば、こんな凄い作品がこんな環境で見れるのか…」と感じて以来、年々に映画館で鑑賞する本数が増えてきてます。映画館で見るようになって思うことは、毎年「ダークナイト」のような、映画館で見れたことに幸せを感じさせてくれる作品に出会えることですね。


Q.映画館ってそんなにいいの?値段が高くない?
A.家のテレビが未だにブラウン管のテレビデオ(こないだ壊れかけた)なので、映画館と家の環境の違い(映像だけでなく音の面でも)はとてつもなく大きいです。あと、家だといろんな誘惑があって、なかなか2時間集中して映画を見れない人間なので、映画のみに集中できる環境っていうのも魅力的です。
 値段については、会員割引、サービスデーなんかをフル活用してるので、映画単体の鑑賞だと大体1000円で見てます。2時間1000円って考えると、結構お得な趣味なんじゃないでしょうか?


Q.でも、そんなに映画館で見る暇ってあるの?
A.映画ぐらいしか趣味がないからだよ!なんか、今年はそういう時間が作れたのでラッキー!
 一応社会人なので平日はお仕事してます。そんな合間を縫って映画館に行ってるので、見たい映画の優先度とスケジュールを仕事量と天秤にかけてます。もちろん、見たい映画のスケジュールが合わなくて”ぐむむ…”という事になったり、見ようと思った日に急な仕事が入って”げげんちょ!”となったりしますが、今年は幸運なことに、これだけの本数が見れる状況にありました。
 もしかしたら、下半期は大きく状況が変わって上半期の1/10の本数とか見れないかもしれませんが、”これは見たい”って作品はなるだけ映画館で見たいなと思っとりますね。


Q.映画何がそんなに魅力的なの?
A.面白い映画って面白いじゃん!
 禅問答みたいな回答ですな…。でも凄い綺麗な映像(例:「メランコリア」のラストシーン)見たり、凄い気持ちのイイ演出(例:「バトルシップ」でAC/DCが流れるシーン)見たり、凄いストーリー展開(例:「へんげ」のラスト10分間)見たり、凄い綺麗なお姉ちゃんが凄い格好してる(例:「ドラゴンタトゥーの女」でモザイクでかすぎだったシーン!)を見たりしたら、”ウオォォォ〜!”って気持ちになってガッツポーズしますよね!(もちろん心の中で)毎回そんな気分が味わえるといいなと思って、映画見に行ってます。
 あと、こういう”ガッツポーズ”をしたくなる映画について、同好の士であれこれ語りあったりすると、映画本編だけじゃなくてその会話でも楽しめて2倍お得ですね!まあ、微妙だった映画でも「あの映画ここがちょっとダメだったよね」とかdisりあう語り合うだけで、「ちょっと自分には合わなかったけど、まあたまにはこういうのもいいんじゃない」ぐらいに許せる…ぐらいの広い心の持ち主になりたいものです…。


Q.じゃあ、上半期でそんなガッツポーズしたくなった印象的な映画って何よ?
A.取り敢えず、上半期見た新作の中からガッツポーズしたくなった新作映画を羅列してみた。(見た順番)

ミラノ、愛に生きる」「ルルドの泉で」「サラの鍵」「J・エドガー」「ブラッディ・パーティ」「ドラゴンタトゥーの女」「タッカーとデイル 史上最悪にツイてないヤツら」「アニマルキングダム」「メランコリア」「人生はビギナーズ」「ヤング≒アダルト」「戦火の馬」「おとなのけんか」「ポエトリー アグネスの詩」「シャーロックホームズ シャドーゲーム」「フラメンコ・フラメンコ」「SHAME-シェイム-」「ヘルプ 〜心がつなぐストーリー〜」「幸せのパン」「父の初七日」「別離」「バトルシップ」「裏切りのサーカス」「ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン」「REC/レック3 ジェネシス」「LOFT -完全なる嘘(トリック)-」「ロボット」「ファミリー・ツリー」「へんげ&大拳銃」「ザ・マペッツ」「コネクション マフィアたちの法廷」「サニー 永遠の仲間たち」「君への誓い」「星の旅人たち」「私が、生きる肌」「ソウル・サーファー」「アメイジングスパイダーマン
 計37本

 実に3回に1回以上の割合で、映画見ながらガッツポーズしたくなったり、隣の人とハイタッチしたくなる衝動を我慢してるわけですよ!(うずうず)もちろん、「別離」や「アニマルキングダム」みたいな重苦しくなる映画は、ガッツポーズやハイタッチとは逆ベクトルの感情”いつもよりも20%増しで猫背気味になりながらトボトボ歩いて帰る”になりますが、それでも心に植え付けてくれた印象はハイタッチしたくなる映画と同じかなと思ってます。
 残りの65本も大半は映画を見てる間にどきどきわくわくさせてくれる作品が多くて、払った金額に見合うものを提供してもらってます。中には、映画を見た帰り道で「何でこんなの見に行ったんだ。俺…」という気持ちになる作品も無くはないですが、そういった苦い経験から一回り大きな人間へと成長していくものなのだよ…。
 といいつつも、「イヤ!地雷に見えるかもしれないけど、今回こそは地雷じゃないから。見てみないと地雷かどうか分からんでしょ!」と意気揚々と映画館に足を運んで、帰り際に頭を抱えて帰る光景は下半期にも散見されそうです…。(まるで成長していない…)


Q.上に挙げた映画のどういうところがガッツポーズしたくなるの?
A.37本全部説明するのがしんどいので、その中でも特に私の心にぐっと来た3本を紹介しますね。


1.「サニー 永遠の仲間たち」
 今年上半期で一番ぐっと来て3回も映画館で見たけど、毎回同じシーンで泣いたり、笑ったり、ニヤニヤしたりしてしまう映画でございました。どこのシーンでガッツポーズというか、映画全体が”ガッツポーズ”で”ハイタッチ”して”スキップして帰りたくなる”ような気持ちにしてくれる、見終わった後に明日を生きる活力が溢れ出てくる映画でござった。最高!


(以下、思いっきりネタバレ)


 1回目に見たときは、これは主人公であるナミが人生に主役になる事を取り戻していく映画だよな〜と思いつつ、ナミ視点で鑑賞してたのですが、2回目以降の鑑賞で徐々に感じたのは、「ナミが人生の主役になる映画でもあるけど、ハ・チュナ社長が人生の主役になる映画でもあるよな〜」という部分が、自分の中に占める割合が大きくなってきたなと。特に、彼女の人生を象徴するしている、病室に飾ってあるる写真の変化を見ていくと、何か大切なものを取り戻していくという実感が溢れてきますね。(ちなみに、一番初めにナミが彼女の病室に行ったとき、病室に貼ってある写真はある一枚を除いて彼女が写ってる写真は無かったと思う。そして、その一枚の写真でハ・チュナ社長の表情がサニーのメンバーと邂逅した時と同じくらい、イイ表情をしてるんですよ!)
 あと、サニーのリーダーは「ハ・チュナ」から「イム・ナミ」へと受け継がれていくけど、その時の台詞「人生の主役になれる顔」って言葉も、思い返すたびに非常にいい味を出してるよなと、何回も見ていくうちに思いましたね…。高校時代(多分、大人になってからも)の「ハ・チュナ」の存在って、真夏の昼間の太陽のような、ギラギラとしたパワーにあふれる輝く存在で、まさに人生の主役。そして、そのあふれんばかりのパワーが、周りの人にも同じように人生の主役になる力を分け与えてくれる存在なんじゃないかなと思う。でも、大人になってからのナミはそういうイメージとはかけ離れた、どこにでもいる普通の存在だし、多分この映画以降でも彼女の人生は一見すると大きく変化しないと思う。それでも、この映画の中でのナミは、自分を含めた全ての仲間に人生の主役になることの大切さを思い出させてくれる、大きな太陽が沈んだ後でも自分たちが輝けるって事を思い出させてくれる(月にとっての)夜の太陽のような、一見するとその存在には気づきにくいけど大事で優しい存在なのかなと思ったよ。
 こういう風に、思い出していくと、次から次へといろんな感情が溢れ出てくる作品なので、ソフトを買って早くもう一回みたいでござるよ!



2.ヘルプ 心がつなぐストーリー
 今年2番目にぐっと来た作品。思わず原作本も買っちゃったぜ!この映画も「サニー」と同じように一人一人のキャラクターやエピソードが魅力的で、上映時間が2時間半近くもあるのに”まだまだこいつらを見ていたい”と感じさせてくれる作品でしたよ。時代背景とかを考えると、相当重くてどんよりとした気持ちになるお話なのに、それをまったく感じさせない明るく楽しいエピソードが満載で、見てるこっちをホッとさせてくれる。でも、ラストに背筋をピンと伸ばしたくなるような緊張感がある作品でござったよ!


 原作と映画を比べてみると、原作はその時代の持つある種独特の空気みたいな部分、秩序を守ろうとする側が醸し出す重苦しい空気が感じられました。特にブライス・ダラス・ハワード演じるヒリーは、ヒステリーだけどそれがコミカルで愛らしい映画の印象とはがらっと変わって、非常に怖い存在になってるように感じました。(映画よりもあの時代の一方の人が持つ、暴力性みたいな部分が如実に現れてる。)そんな時代の持つ空気を描いてる原作に対して、映画のほうはもっと普遍的な勇気についての物語になってるなと思いましたね。早くソフトを買って原作とあれこれ比べてみたいぞ!



3.タッカーとデイル 史上最悪にツイてないヤツら
 どんなジャンルの映画が好きですか?と聞かれると「B級ホラー」と答えてしまうぐらい、一昔前まではレンタルビデオ屋のホラーコーナーに入り浸るボンクラ野郎でしたが、そんなボンクラ野郎の心を鷲掴みにしてくれたのがこの作品。テアトル梅田で開催されてた「未体験ゾーンの映画たち2012」の中の1本として公開された作品ですが、同シリーズの中でも、ずば抜けて公開されて良かったと感じた作品でした。(まあ、ほかの作品がムニャムニャ…)
 そりゃ、それまでの同シリーズで、あんな映画やこんな映画見せられた後にこんな映画見たら、茶屋町を「うおー!タッカーとデイル最高!」と叫びながら帰りたくなるのも当然ですよ!(実際には叫んでいません…)

 映画のスタイルとしては、B級映画で見られる”お約束”を逆手にとって作られたホラーコメディ作品ですが、そのお約束の使い方が部分が非常に巧い。見てるこちらが、来るかな〜来るかな〜と思ってたシーン(ダチョウ倶楽部の押すなよ!押すなよ!)がしっかり来てくれる安心感と、手抜きの無いゴア描写、そして何よりタッカーとデイルのキャラクターが素晴らしい。ソフトも買ったので、いつでもあいつらに会えるぞ!


 という訳で、下半期も上半期に負けず劣らずいい映画たちに出会って、思う存分ガッツポーズ(を心の中で)できたらいいな〜。