俺と「パティンテロのQ&A」

大阪アジアン映画祭2017で見た「パティンテロ」。映画の方もなかなか面白かったですが、ミーク・ヴェルガラ監督のQ&Aが負けず劣らず非常に面白かったので、備忘録としてうろ覚えの範囲で書いときます…。(間違っててもご容赦を…)


・監督挨拶
「今日は私の映画を見に来てもらってホントにありがとうございます。私自身、日本の多くの日本の文化、アニメや漫画や映画に影響を受けており、そんな私の大好きな国日本でこの作品を上映できる機会を頂いてとても光栄に思っています。」


・なぜ”パティンテロ”(チーム&ターン制の鬼ごっこみたいなフィリピンの遊び)を題材にしようと思ったのですか?
「日本の映画やアニメでは普通のスポーツ・遊び、例えばゴルフや卓球などを題材にした素晴らしい作品が多くあります。それをフィリピンに当てはめたときに何になるか?と考えて当てはまったのが”パティンテロ”になりました。この遊びはフィリピンでは大人から子供まで誰でも知ってるとてもポピュラーな遊びです。」


・この映画は監督のデビュー作ですが、フィリピンの映画祭で多くの賞を受賞されています。特に、ジェンダー・センシティビティ賞という、ちょっと我々には馴染みのない賞を受賞されてますが、どういう賞なのでしょうか?
「この賞は男女の役割やLGBTの描写が非常に模範的(相互理解を深めるという意味で…ということだと思う)であるという賞に送られます。作品中の主人公のキャラクターやゲイのカップルが家庭の中に溶け込んでいる様子などが評価され、受賞することになりました。」


・監督は日本のアニメや映画などから影響を受けたとおっしゃっていたが、例えばキック・アスのようなアメコミヒーローからの影響は受けていますか?(「バーミー」田中監督からの質問)
「日本のアニメや映画と同じぐらいアメコミヒーローも私にとって非常に身近な存在でしたので、その影響も非常に大きく受けています。例えば劇中に出てくるZボーイのキャラクター造形はまさにソレですし、彼が突然消え去るシーンなんかはバットマンがパッと消える演出を非常に意識しています。」
(Q&Aでは触れられていなかったが、エンドロール後に出てくる文字なんかもそうだと思う。)


・主人公の家庭描写など、ちょっと理解しにくい面があったりしたので、その部分について補足説明をお願いします。
「主人公の母親は海外で働いており、彼らの面倒は祖母が見ています。これはフィリピン人にとっては非常によくある出来事で、OFW(Overseas Filipino Workers…フィリピン人海外労働者)と呼ばれており、医療やメイドなどの仕事を海外でしなが母国に住む家族に送金しています。劇中の最後で主人公たちを待ち受ける運命も実はフィリピン人にとっては非常にごくありふれたモノなのです。ただ、これはフィリピン人以外にはなかなか理解できないものなのかもしれません。この作品はそもそも海外で上映することを想定せずに作っており、その部分の補足説明が必要だという事は非常に参考になりました。」


・映画を見ているとちょっとノスタルジックに感じる部分があったのですが、どのような時代設定になっているのでしょうか?
「この時代という具体的な設定はしてませんが、おっしゃる通りちょっとノスタルジーを感じる一昔前の設定にしています。例えば”パティンテロ”の競技前にするコイントスで使われてるコインは、今は使われていないちょっと前のコインを使っています。また、今ではフィリピンで当たり前に使われている携帯電話も登場させていません。また、今のフィリピンの子供は映画のように”パティンテロ”に興じてるというのもあまりないです。」(画面もチョットセピア色がかった色調があったりしました。)


・劇中の音楽がとても印象的だったのですが、あれはオリジナル何でしょうか?
「劇中の音楽は私の友人のラッパーやロックバンドなどでマルチに活躍している、フィリピン人のミュージシャンにお願いして作曲してもらいました。すべて彼のオリジナル曲になります。」


といった感じのQ&Aでした。

あと、おまけ(サインしてもらったときに質問してみた)
・試合のシーンがアニメ的に演出されていて非常に印象的でしたが、何かモデルにしたアニメとかはあるんでしょうか?
「スポーツアニメ、例えばスラムダンクとか、ハイキュー、あとキャプテン翼なんかが大好きで、演出の元ネタになっています。」