俺と「ロボット・ソリのQ&A」

映画祭のレイトショー的な上映時間なのにQ&Aしてサイン会までしてくれた「ロボット・ソリ」のイ・ホジェ監督に敬意を表して、相変わらずメモすら取っていないその内容を、忘れる前にざっくりした範囲で書いときます。(間違いとかは大目に見てね)

・監督挨拶
「この作品は今日が日本で初上映されるということで、日本で初めてこの作品を見る人たちにあえて非常に光栄です。楽しんでいただけたでしょうか?(盛大な拍手)ありがとうございます。
この映画は韓国では去年公開されて、私も久しぶりに皆さんと一緒に鑑賞したのですが、個人的には非常に満足してる作品ですが、ああもうちょっとこうすればよかったな…なんて思いながら見てました。」


・SF的な要素と親子の愛情という非常に身近な要素が融合した作品だなと感じたのですが、韓国での反応はどうだったのでしょうか?
「興行的には同時期に大ヒット作品があったりしてなかなか思うようにはいかなかった面もありますが、何度も見るほど大好きだという方もいてくれてとてもうれしいです。」


・劇中で登場するソリの造形はR2D2に非常に似てるなと思いましたが、後半はちょっとETのようにも感じました。このデザインについては監督がイメージされていたのでしょうか?
「ソリのデザインはデザイナーの方にお願いしたのですが、私からのデザイン的なお願いはピクサーのロボット(おそらくウォーリー)には似せないで!というものでしたが、出来上がりはR2D2にそっくりになっちゃいましたね…。ただ、モチーフとしては今や街角に多くみられる監視カメラをモチーフにしています。
元々この作品の脚本を書き始めた段階では、ソリが多くの言葉から学習していくという風なストーリーを考えていました。ただ、脚本を書いていくうちに映画のテーマが徐々に記憶、ある人にとっては忘れたいが忘れることのできない哀しい記憶にシフトしていき、最終的にこの映画の形となりました。劇中で登場する事件はモチーフの事件(大邱地下鉄放火事件)があります。この事件は多くの犠牲者を出してしまいましたが、もっとしっかりした対策、対応をしていればこのような大きな被害は出ていなかったと言われています。しかし、韓国ではその後もこの事故同様にセウォル号事件のような、防げるはずだった大きな事件が起きています。
我々がその事件の哀しい記憶をきちんと風化させずに受け止めていれば、そんな悲しい事件を防げたはず。そんな思いもこの映画に込めています。」


・登場した時は無機質に感じたソリが後半では非常に愛おしい存在に変化していったのですが、撮影中にもそのような変化はあったのでしょうか?
「まさしく、我々も撮影時に同じような思いを感じていました。主演のイ・ソンミンさんは多くの時間を無機質なロボットと一緒に過ごすことになり、ちょっと寒い思いをしていたかもしれませんが、現場ではソリのオペレーターの二人のことを”ソリのおじさん”と呼んだりして、皆がソリに愛着を持った空気の中で仕事をしていました。」


その後のサイン会のサインではソリをわざわざ書いてくれたりと、非常にお茶目でファンサービスに溢れつつも、社会に対するしっかりした視線も併せ持つ監督さんだな(これはバティンテロのヴェルガラ監督も同じ)と思いました。