俺と「きみの鳥はうたえる」の舞台挨拶

先週土曜日に大阪であった「きみの鳥はうたえる」の舞台挨拶付き上映に行ってきました。
舞台挨拶と言いつつもほとんどが三宅監督と観客とのQ&A形式で、映画を見ていて引っかかった部分や、監督自身のいろんな背景や考え方が聞けて良かったので、覚えてる範囲で記録しておこうという内容です。
(と言っても、当日メモとか取ってたわけでもなく、舞台挨拶から1週間近くたってるので記憶忘れ、記憶違いがあるかもですが、そこらへんはご容赦を…)


・まず監督からひとこと
もともと、函館にあるシネマアイリスという映画館が、映画館が映画を作ろうということを企画して、函館出身の作家佐藤泰志の作品を函館を舞台に映画化した作品、「海炭市叙景」「そこのみにて光輝く」「オーバー・フェンス」が作られていました。本作は、それら三作と同じくシネマアイリの製作、佐藤泰志作品が原作という作品なんですが、映画館が作った映画をこんなに多くのお客さんが、今日わざわざ映画館まで足を運んで見てくれて、ほんとにうれしい気持ちでいっぱいです。


・監督の好きな映画を教えてください。
好きな映画、というかデンゼル・ワシントンが大好きな俳優でして、彼の出演作「デジャブ」や「アンストッパブル」が大好きですね。「デジャブ」はあまりな内容に触れられない映画なので、これはもう見てもらうとして、「アンストッパブル」はデンゼル・ワシントンが暴走してる列車を止めようと頑張る映画で、ホントにそれだけなんですが無茶苦茶面白い映画ですね。
あと、他に好きな映画としては、現場でスタッフとの会話でもよく話題に上って作品でもあるんですが、リチャード・リンクレイターの作品ですね。「ビフォア・〜」シリーズもいいですし、アカデミー賞にノミネートされた「6才のボクが、大人になるまで。」や、最近公開された「30年目の同窓会」もとても良かったですね。


・映画を見ていて主演の三人(柄本佑染谷将太石橋静河)が、当て書きのように感じるイメージ通りという感じの役柄に思えましたが、初めからこの三人を想定した脚本を書いたのでしょうか。
僕役の柄本佑と静雄役の染谷将太は、僕自身が「この二人と仕事したい」という気持ちもあり、かなりイメージしながら脚本を書いていて、実際に希望通りのキャスティングとなったのですが、もろもろの事情で一時製作が中断して、三年ほど期間があいてしましました。しかし、結果として石橋静河という素晴らしい女優さんがこの映画に参加してくれることになったので、良い方向になったなと思います。


・映画の内容からこのタイトルをイメージしにくかったのですが、なぜこのタイトルにしたか教えてください。
先ほども説明させてもらいましたが、この映画は佐藤泰志の小説を原作にしていて、その小説のタイトルが「きみの鳥はうたえる」なんです。
ただ、原作にはきちんとそのタイトルの由来である、ビートルズのアルバム「リボルバー」に収録されている曲「And Your Bird Can Sing」が出てくる場面があり、それは主人公の僕と静雄の二人が意気投合し、部屋でレコードを聴こうとするけど、プレイヤーがなくてアカペラで歌うというシーンなんです。映画でもそのシーンを描くことを考えていたのですが、なんせビートルズの楽曲はとにかく高い、カバーでもかなりお金がいるということで結局このシーンは無しになりました。


・今後どんな映画を撮りたいですか。
こういうジャンルの映画を撮りたいというよりも、とにかく今、同じ時代を生きている素晴らしい役者たちを映像として残していきたいという思いが強くあります。
あと全然話は変わりますが、ZOZOTOWNの前澤社長がこないだ世界で初めて月に行くってニュースがあったと思いますが、彼が同行させるアーティストの一人として作品を撮ってみたかったですね。


・音楽がとても印象的だったので、音楽を担当したアーティストについて教えてください。
本作の音楽を担当してくれた Hi'Spec(ハイスペック)はDJ、そしてトラックメイカーとしても活躍中のアーティストで、劇中でもクラブのシーンにDJ OMSB(オムスビ)と一緒に登場してプレイしてくれています。彼らはSIMI LAB(シミラボ)というユニットのメンバーで、以前、僕自身が彼らのようなヒップホップアーティストを題材にした「THE COCKPIT」というドキュメンタリー映画を製作しており、今回、彼に音楽を担当してもらったのもそのような繋がりからです。
ちなみに、クラブのシーンではほんとにテキーラを飲んでましたね。


・函館の舞台に撮影した映画ですが、こだわった点などはありますか。
有名な観光地が出てくるような映画じゃなくて、それこそ函館じゃなくてもどこにでもありそうな街の情景の中で、どこにでもいそうな若者たちの物語にしたいという思いがあり、冒頭こそ函館山や函館の夜景の様子はちょっと映りますが、それ以外のシーンはなるべく普通の町の様子を映す作品にしています。


コンビニの会計シーンはアドリブのような掛け合いがとても印象的でしたが、どのように演出されたのでしょうか。
他の劇場で行った舞台挨拶でも、このシーンを含めて非常にアドリブだと感じる作品だという質問を受けましたね。本作は基本的にはシーンを撮影前に脚本を渡して、そのシーンのイメージを固めたうえで撮影に入ります。そこで、脚本以外の内容を現場でメモとして役者陣に渡したりもして、より内容を深めていくという形で演出してました。そこで、役者陣からこういう風にしたほうがいいんじゃないか、というアイデアも出たりして、何回か繰り返して撮っていく中でシーンの内容が固まっていくという作品でした。
コンビニのシーンも非常にアドリブのように感じるシーンですが、あのシーンも何回もリハーサルしたりして、喋る内容もいろいろ考えて出来上がっていったシーンなんですよ。


・佐知子が歌うあの曲がとても印象的だったが、あのセレクトは誰のものなんでしょうか。
佐知子が歌うあの曲はこちらでセレクトして石橋さんに歌ってもらいました。見てもらうとわかる通り、石橋さんの歌がとても素晴らしくて、とてもいいシーンになったと思います。



と、覚えている範囲ではこんな感じですね。間違ってたらスミマセン。