俺と「アバウト・タイム〜愛おしい時間について〜」

 気づけば前回の更新から3ヶ月以上も経過してしまいましたね。その間にも色々映画を見ましたが、「このままぼんやり映画を見るのはダメだ!」(いや別にダメじゃないけどね)と一念発起して、リハビリがてらこないだ見た「アバウト・タイム〜愛おしい時間について〜」についてちょっと感想を書いてみますね。


 こういうラブロマンス映画を見に行くと観客はたいてい女性かカップルなんですが、今回私の上映回で近くに座ってたのも女友達同士と思われるペアが二組と、「オッサンが一人で来る映画じゃないよな…」と若干の場違い感を覚えながらも上映が始まったのです。
 さて、予告編も終ってそろそろ本編という矢先、女の子がしてる会話が耳に入ったのですな。


 大体はこんな感じ、
 「ところでこの映画字幕なん?吹き替えなん?」
 「ごめん、タイトルだけで選んだから全然分からん!」
 思わず「字幕ですよ!」と言いたくなる衝動を抑えながらも映画本編を鑑賞し始める私。そして、映画を鑑賞し終わるとさっきの彼女(字幕なん?)が興奮気味に喋ってるんですな。
 「良かった〜。ホンマメッチャ良かった〜。初めから終わりまで最高やったわ〜。ホンマ最高すぎるわ〜」と…。

 劇場を出るときもまだ「最高!」とさっきまでボロ泣きしてたであろう顔で言ってる彼女の様子を見ながら、なんかふらっと見た映画がとても自分にとって大事な映画になってるのはとてもいい事だなと思いました。
 私自身は予告編や劇場とかのチラシでどんな映画か下調べしたり、他の人の評判で映画を見に行ったりしてるのですが、そういう前情報なしにたまたま入った映画館やチャンネルを合わせたテレビでやってた映画がとても良い映画っていう状況は、とても羨ましい映画との出会いだなと思ったりするんですな。(映画祭とかに行ったりするのも、そういうシチュエーションを期待してるのかもしれないのですな…)


 さて、そんな彼女にとって素晴しい作品だった「アバウト・タイム」ですが、私もとても大好きな映画でした。彼女が感じた素晴しさとは違うかも知れませんが、私にとっての愛おしいポイントを挙げて生きたいと思います。


・キット・カットちゃんが可愛い
 まず、主人公ティムの妹キットカットちゃんがチョー可愛いです。兄貴と仲良くひょっこり顔を出してる辺りも最高です。私もこんな妹がいたら人生が2.5倍くらい愛おしい人生だったのかも知れません。そんな彼女はやさぐれちゃう時もそっと諭してあげたくなる妹No.1ですね。



・メアリーちゃんが愛しい
 さらに、ティムの伴侶であるメアリーちゃんもチョー愛しいです。こんな前髪が似合いすぎるレイチェル・マクアダムスはちょっと人間を超えた天使か何かと見紛うばかりです。こんな伴侶がいたら私の人生も今の3.5倍ぐらい愛おしい人生だったかも知れません。そんな彼女は私の中で今嫁にしたい女性No.1ですね。


・父さんが素晴しい
 そして何よりもビル・ナイ演じるティムの父さんがとても素晴しかったです。結果は見えてるのにも関わらず毎回毎回とても真剣に、とても楽しそうに息子に卓球勝負を挑む父さん。大好きな本の事についてとても楽しそうに語る父さん。息子の人生で一番大事な日に息子のために心のこもったスピーチをする父さん。
 この父親像が万人にとっての理想的な父とは思わないけど、私にとっては「私もこんな父さんになりたいな」と思わせるような素敵な父さんでした。


 さて、この映画の重要な要素として「主人公の一族の男性が過去にタイムトラベルすることが出来る」があります。そんな便利な設定羨まし過ぎると思いましたが、実は私もそんな便利な能力が備わってるんじゃないかと思って、暗いトイレで一人拳を握ってみました。残念ながら何も起きませんでしたが、私がタイムトラベルできたら、より良い人生送―例えば見逃したあの映画を劇場で見たり、見なくてよかったあの映画(特に殺人タイヤが出てくるやつとか!)を見に行かなかったりとかする―ために使うかもしれません。
 誰しもこういうとても便利な能力が使えれば”結果を変える”―例えば過去の失敗をやり直したり、選べなかった別の選択肢を選ぶ―ために使うんじゃないかなと思います。もちろんこの映画の主人公もそういう明確な目的のためにこの能力を使っていたのですが、いつしかその能力の使い道が”結果を変える”ことから、もっと有益な使い方、”大切な人と同じ時間を過すこと”へと変化していくのですな。
 もし、結果を追い求めよるために能力を使い続ければ、結果が出る度に「より良い人生があるはず」と際限ない自分の欲望に飲み込まれるんじゃないのかな。そんな結果を追い求める人生よりも自分にとって大切な人と過す何気ない時間、そしてそういう人に出会える人生こそ、目に見えやすい結果よりももっともっと大事なことなんだろうな。彼らはそう考えたんじゃないかな。

 この映画は見てる私にとってもティムとキット・カットちゃん、ティムとメアリーちゃん、そしてティムと父さんの関係を見てるだけでなんだか幸せな気分になれる、彼が感じたような幸せな時間を体験できる映画だったなと思いました。
 もしかしたら、私の隣に座っていた彼女もそんな幸せな時間を私以上に感じ取って、ティムや映画の中の人たちと同じように時には笑い、時には涙し、そして映画を見終わった後に自分の中の気持ち伝えずにはいられない、そんな映画だったのかもしれません。