俺と2014下半期の映画

今年も残り片手で数えられる位の時期になってきましたね。そろそろみんなこの1年見た映画のランキングなんかを発表したりして、年末感がさらに高まっちゃうわけですが、そんな世間の流行に乗っかっちゃう私も、毎年実家に帰省したこの時期に映画ランキングとかを発表してるわけです。

しかし、今年は自作の映画リストを忘れて帰省するという大失態を犯してしまい途方に暮れる俺…。「どうする、今年は何も発表しないでおくか…」、なんて葛藤は全くありませんでしたが、今年一年の映画を振り返る前に、取りあえず思い出せる範囲で下半期の映画を雑に振り返ってみましょう。

特に良かった映画(見た順番)

ホドロフスキーのDUNE

愛すべき映画山師とでも言うべき奇才アレハンドロ・ホドロフスキーが、何故「DUNE」というSF原作を映画化できなかったかを追ったドキュメンタリー。
とにかくアレハンドロ・ホドロフスキーの持ってるクリエイティブでポジティブなパワーが映画の画面から溢れ出てくるぐらいに感じられて、こういう人に「お前のことが必要なんだ!」って請われて一緒に仕事できたら人生は変わるなと思いました。


バトルフロント

私の人生を変えた(かもしれない)ぐらい大好きな俳優ジェイソン・ステイサムが、いつも通り悪いやつをボコボコにするいつも通りの映画。この映画を見る前に仕事でいろいろあったりして、結構テンション沈んでたけど、いつも変わらぬステイサムがしょーもない小悪党のジェームズ・フランコ(彼がまたこういう役が似合うんだよな)をボコボコにするところを見ただけで、そういう仕事の悩みとかも吹っ飛ぶほどに気持ち良かった!
ありがとうステイサム。あんたはやっぱり最高!!


・イン・トゥ・ザ・ストーム

お前がイントゥしたのかしてないのか、それが問題だ!と言いたくなるほどに最高の竜巻パニックムービー。「ヒャッホウ!あの車テレビで見たことあるぜ!!」ってノリで、ガチで竜巻を追っかけてる人たちを野次馬根性120%で追いかける二人が出てくるんですが、これが最高。こういうノリだけで生きてる愛すべき馬鹿な奴ら、竜巻で人生変わったおっさんが超巨大竜巻とのガチバトル(しがみつくだけ)する胸熱展開が印象的な映画!


・ヘウォンの恋愛日記/ソニはご機嫌ななめ/自由が丘で

今年はホン・サンスの作品がなんと3作品も劇場で見られたという僥倖。
内容はどれも誰かの人生が劇的に変わるような展開も全くなく、ホン・サンス映画の過去作で見たことあるようないつもの役者陣が登場して、いつも通り飲み屋でグダグダ恋バナして、男が可愛い女性に振り回されてあちこち行って、すぱすぱタバコ吸って、時折謎ズームが入って、長回しもあるよの、徹頭徹尾いつも通りのホン・サンス映画。
アレな、そろそろホン・サンス映画のパンフレットには、上記内容とかをまとめてホン・サンス度のチェックリストを作るべきだと思うの。そして、毎回チェックリストが全部埋まってて我々観客は満足気に劇場を後にするの。


・物語る私たち

女優であり、また映画監督でもあるサラ・ポーリーが自身の出生の疑惑である母の過去に迫るドキュメンタリー映画ですが、自分の人生観が変わるような出来事を映画に、それもドキュメンタリーにするという彼女の感覚に驚いた。ある出来事について人々が持ってる物語をそれぞれの人たちにかたらせる手法、そしてそこから浮かび上がってくる彼女の母の人間像など、彼女の才能の凄さを感じさせる内容が随所にあふれてたけど、化結局彼女が何を取捨選択してこの映画を作ったのかを考えていくと、彼女の人間性の一端が見えてくるような、そんな作品でもありました。
数年前に彼女の監督作「テイク・ディス・ワルツ」を見たけど、彼女がこんな映画を作った理由が今ならちょっと分かる気がするな。


・監視者たち

今年の下半期も韓国映画は相変わらず超面白かった!中でもこの監視者たちが別格で印象的だったな。できる新人がチームの中の一員となる様子、できるチームVS超できる敵、女ボスのかんしゃくに細かいフォローを入れる部下たち、そして緊迫感が続く中でちょっとちょっと笑ってしまうシーン(トイレのとことか)などなど、映画見て面白かったなという充実感に浸れた一本でした。


ジャージー・ボーイズ

メタル雑誌を読んでいた高校生の頃、海外のミュージシャンがたまに「ケミストリー」って単語を使うのが気になっていたのですが、その当時はフーンって程度にしか思ってなかったんですな。ただ、このジャージー・ボーイズにはあの頃分からなかった「ケミストリー」の、彼らの人生が変わった瞬間や最も輝いていた瞬間がいくつも切り取られていた気がします。
この年になってもこういう映画をさらっと撮ってしまうクリント・イーストウッドはやっぱり凄いと思わずにはいられませんでしたよ。


・フランシス・ハ

普段と変わらないような何気ない日常の中にも、振り返って考えてみればその後のの人生を変えてしまうような出来事が積み重なってきてるのだな。そして、多くの人はフランシスのようにそんな変化に戸惑い悩み、時には周りの人に当たり散らしてしまうのだよな。でも、フランシスがそうであったように、いつかはそれが良い方向に進むことを信じて…いや、そんなたいそうなことは考えてないと思うけども、そんな変化と向き合っていくしかないのだよな。
感想も書いたよ! http://d.hatena.ne.jp/rino5150/20141026/1414342192


・紙の月

そりゃあ、あんなにもあっさりとお金が横領できるなら人生変わっちゃうよ!でも、それを続ける彼女の妄執と言いたくなるようなねっちょりした部分と、そこから解放された時のなんともいえない爽快な感じが一人の人に同居している不思議。
これも感想書いたよ! http://d.hatena.ne.jp/rino5150/20141126/1417009526


・6歳のボクが、大人になるまで

同じキャストで12年間撮影をした事で生まれる何とも言えないあの感じ、他人の家のホームビデオを見せられてるような作品だけど、彼の人生の一部を父や母や姉と同じく見守ってるような気がして、何とも言えない気になったな。劇中で大学で一人暮らしを始める息子を母が何とも言えない表情で見るシーンがあるんだけど
、うちの両親もこんな気持ちで私のことを見たのだろうか…そんな事を映画の節々から感じる作品でもあったな。


インターステラー

私がこういう風に映画館に足しげく通うきっかけとなった、いわば人生を変えた映画と言えば「ダークナイト」なのですが、その続編「ダークナイトライジング」はあんまり好きではない…というかぶっちゃけ嫌いな映画なので、「まあノーランだしな…」程度の舐めた態度で見に行ったわけです。そしたら、「SFとか細かい設定とかどうでもいいんだよ。要は愛だよ愛!」というノーランさんの愛に溢れた映画の内容にぶちのめされてしまい。今後は態度を改め必ずノーランさんと呼ぶ事を心に誓った次第です。


ゴーン・ガール

昔はホラー映画とかが好きで、映画を見てドキドキするのが楽しみだったのですが、今年はそういうジャンルの映画をあんまり見なかったなと思うのですが、もうこの映画はそん所そこらのホラー映画もよりもドキドキした、怖かった、見終わった後でチョット震えた、そんな映画でした。
多くの人の人生を変える出来事と言えば素晴らしいパートナーに出会う事だと思うのですが、その結婚に関してある種の恐怖すら覚えてしまうようなホント強烈な映画。でも、また見たい!


・ニューヨークの巴里夫

そして最後に紹介するのが、オシャレ映画の先進国と私が勝手に思ってるフランス産のコメディー映画です。「スパニッシュ・アパートメント」「ロシアン・ドールズ」に続く三部作の3作目ですが、前二作を見ないで(というか知らなかった)見に行ったのに、すっかりその映画の世界観にやられて、前二作も見てみたいなと思わせてくれるような作品だったですよ。
前作と同じ主要キャストで同じだけ年を取った設定の作品だけど、彼らと監督の作る空気のような感じがとても心地よくて、あとクライマックスのドタバタコメディ展開に爆笑して、年の瀬にとてもいい映画を見たなという気持ちにさせてくる作品でした。


はい、来年の2015年にちなんで15本良かった作品を挙げましたが、もちろん狙ってやっていたわけではなく、たまたまです。これら作品以外でも良かった作品がいっぱいあるのですが、キリがなくなるのでこの辺にしておきましょう。
あと、もう一本今年は私の記憶に残る映画に出会えたので、その映画を紹介して下半期を振り返ったことにしたいと思います。


・シャンティデイズ 365日、幸せな呼吸

呼吸で変わる人生なんてなかった!そんなのそもそも無かったんや!!
ハイ、来年はこういう映画をネタにするためだけに見に行くという行為からは卒業したいなと思います。