俺と「聖なる犯罪者」

 1月に見た映画の中で頭一つ抜けて面白かったのが本作「聖なる犯罪者」。昨年のアカデミー長編国際映画賞にノミネートされ、「パラサイト」という作品賞も受賞してしまったとんでもない作品があったため、賞レースにおいてもそこまで話題にならなった不運の作品ですが、実話から着想を得た本作は単純な善悪で割り切れない深みを感じる作品でした。

 (以下、当たり前のように映画の結末にまで触れてます。)

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俺と「2020年の映画」

映画のような出来事が現実に起きるなんて表現はこういう年に使うんだろうなという年だった2020年。とはいえ振り返ってみると緊急事態宣言が発令された4月7日にも映画館で映画(「ナイチンゲール」)を見ていたり、解除されたその週である5月30日にも映画(「暗数殺人」)を見ていたりと、コロナ渦はありつつも毎月映画を見ていた2020年。

とりあえず例年のごとく鑑賞本数から振り返ってみたいと思います。

 

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俺と「TENET」

 クリストファー・ノーラン監督の最新作「TENET」見てきました。私の中でもかなり作品ごとの評価が乱高下する監督ですが、本作の印象は好き↔嫌いとか、面白い↔面白くないといったいつもの映画を見終わった後の第一印象とはちょっと違う、「頭を使いすぎた…」という感じの作品でしたね。

 とはいえ、本作のようなSF作品を見てる時はもちろんのこと、普通の映画を見てるときも程度の差はあるけども頭を使いながら見てるわけですが、本作の「頭を使った」という感覚はほかの映画を見たときに使っているのの部分とはちょっと違う、講義やテストを受けた感じの感覚に近い作品でしたね。

 ということで、今回は映画の内容というよりも、映画の構造的な部分で「TENET」を見てる時に「テスト」を受けている感覚になったのかということについて考えた、本作について多くの人が知りたいこと(本作のSF的な要素やストーリーの解説・考察)の役には立たないと、自身をもって断言できる内容です。

 

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俺と「ルース・エドガー」

映画館が営業再開してから一か月ほど経過し、私もボチボチ映画館に通っております。例年ならそろそろ上半期の映画のまとめでもするかという感じですが、まあご時世的にそんな気にもなれずということで、久々に最近見た映画の感想をリハビリがてら書いてみようかと…。

 

さて、誰も興味のない前置きはこのくらいにしておいて、本作「ルース・エドガー」のお話。主人公は紛争が続くエリトリアから裕福なアメリカ人夫婦のもとに来て、養子として育てられた少年で、学業優秀、品行方正、スポーツもできて、人望もあり、スピーチも上手いと、まさにアメリカでイメージされる優秀な学生の体現といった感じのルース。映画本編は、そんな彼が歴史(正確にはそうじゃないけど)の授業で提出したあるレポートが引き金となって、彼について周囲の大人たちが徐々に疑心暗鬼していく…的な物語になっています。

映画を見た感じとしては、まずは彼の属性に関する部分、これは特に昨今のアメリカの社会的な情勢とかもあるので、その部分を考えてしまう訳ですが、その部分に関して大仰に語れるほど知識を持ち合わせていないのと、それ以上にあるポイントが久しぶりに映画の感想を残しておこうという気にさせてくれたので、その部分についてちょっと感想を残しておきたいと思います。(以下、壮絶なネタバレ有)

 

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俺と「家族を想うとき」

ケン・ローチの新作「家族を想うとき」を見ました。

監督の前作「わたしは、ダニエル・ブレイク」同様に現代社会に対するかなり痛烈な批判が込められた非常に重いテーマの作品であり、個人の善意ではどうしようもなくなってしまった現代社会というシステムが生み出した地獄を描いた作品でした。

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俺と2019年下半期の映画

2019年の12月の初頭のある晴れた寒い日。

 

「これでよしっ…と」

「あれ、トニー何してるの?」

「やあ、フィル。ちょっと張り紙をね。」

「なになに…”本年の営業は終了しました。来年の営業開始日は未定です。”ってこれどういうことよ!」

「えっ、書いてある通りだよ。」

「いや、それは分かるんだけど、まだ12月になったばっかりなのに今年の営業が終わるって早すぎない?」

「ああ、いや今年はもういい映画を見終わった感があったので、もう本業の方は店じまいでいいかなと。」

「本業?」

「いや、映画鑑賞が本業で仕事は片手間でやってるから…。」

「おっ、おう…。いやしかし、映画の方もまだ1ヶ月くらいはあるから店じまいするにはちょっと早すぎるのでは?」

「まあ、下半期はもうベスト10くらい選べる作品は見たし、こっから先はサッカーでいえばロスタイム、プロ野球でいえば消化試合、仕事でいえば開店休業といった感じだからね。」

「下半期だけでも1/6残ってて消化試合とか、暗黒時代の〇〇じゃあるまいし...。とはいえ、じゃあそこまで言うならそのベスト10を聞かせてもらおうじゃないの。」

 

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