俺と『SOMEWHERE』

ソフィア・コッポラ監督の『SOMEWHERE』鑑賞@MOVIXココエ尼崎にて。


ザ・ファイターより客入りが良かったぜ。(といってもどんぐりの背比べ状態…)


ソフィア・コッポラ作品でしたが、結構興味深い作品でした。
冒頭主人公であるスティーブン・ドーフが、愛車のフェラーリを延々と乗り回すだけ(サーキットのような場所をぐるぐる回ってる)のシーンから映画がスタートするんですが、映画的な演出は全くなく本当にフェラーリが走るだけの映像が数分間続きます。
場面が変わってポールダンスをする双子のお姉ちゃんを、まったく興味なさげに眺めている主人公。お姉ちゃんがポールダンスをしているのと関係なしに、そのまま眠りについてしまいます…。
この二つの場面とも、どことなく気だるいムードに包まれており、そのムードは後の場面にも続きます。
個人的にそんな気だるさをうまくあらわしているなと感じたのが、この映画での音の使われ方です。学生時代に気だるい授業を受けているときは、授業そのものよりも、周辺の物音のほうに意識が向かう時がありますが、この映画でもそんな音をうまく拾っているように感じました。
そんな、「映画スターもそんなにリア充してるわけじゃないんだぜ(少なくとも精神的な意味では)」といわんばかりの主人公が見出していく娘との関係がこの映画の重大なテーマになっていくわけですよ。


その娘役を演じているエル・ファニング嬢の透明感溢れる演技が素晴らしかったです!!。(今回の映画で一番言いたいのはこれ)
父親の前では、一部の感情をあえて押し殺そうとしている健気さ、そして終盤でそれまで自制してきた感情が一気に噴出するその瞬間の、それまでとは大きく異なる表情、それらの落差が素晴らしかったです。


ここまで書くと結構見るのが大変そうだなと感じるかもしれませんが、個々の場面でそれぞれに緩急をつけた場面が存在してて、意外にもラストまで飽きさせずに見ることができるので、結構オススメ。