俺と「キッズ・オールライト」

キッズ・オールライト初日に見てきたぜ。@シネリーブル梅田


面白かった作品ですが、個人的に若干引っかかる部分もある作品でした。

面白かった点
・鉄板過ぎるゲイネタと特殊な家族関係
ゲイのカップルが主人公なだけに、当然さまざまがゲイネタが飛び出します。特に、エロイムードを盛り上げるために使うビデオが男同士のアッー!なビデオだったりとか、(女同士のものはストレートな人が演じてるのでうそ臭いという理由も凄い…)自分の息子とその悪友との関係を性的な関係じゃないのかと心配したり…等など。
一方で、このゲイのカップル内でも役割分担しており、父性を担当するニック(アネット・ベニング)と母性を担当するジュールス(ジュリアン・ムーア)の性格の違いが随所に現れていて面白い。また、各々が人工授精で姉と弟をそれぞれ生んでいるためもあるのか、姉弟の性格も親の性格と共通項があって面白い。更に言うと、子供たちがある種自分の親の関係性を特殊なものと冷静に見ている部分があるように感じて、


・家族の普遍性について
特殊な関係ではあるけれども、家族の持つ普遍的な絆は変わらないと、家族モノの王道とも言えるテーマなだけに非常に安心して見る事ができる。取り扱う内容も、子供たちの成長に伴う自立だったり、母親の不倫だったりと、定番の安心感がある。



引っかかった点
・果たしてキッズ・オールライトなのか?
この映画のきっかけとして、息子のレイザー(ジョシュ・ハッチャーソン)が姉と一緒に遺伝子上の父親ポール(マーク・ラファロ)に会おうとする事なんですが、彼と親たちの関係性の部分が後半非常におざなりになってんじゃねえの?と思ったんですよ。映画後半の内容がジュールスとニックとポールとの三角関係を描いていたこと、姉のジョニ(ミア・ワシコウスカ)のほうは大学入学→家庭からの独立という結果が示されているのと比べると、果たして彼の今後はオールライトなのか?(親側がニックとの関係に真摯に向き合うのか?)と一抹の不安を感じてしまいます…。
と、ここまで書いて思ったけど、ラストの彼の台詞をよくよく反芻してみると、意外に彼自身の葛藤にある程度区切りがついているのかもと思ってしまった…。映画的な分かりやすい展開(ジョニとニックのような分かりやすい対立)がなくとも、自分の中での気持ちの変化って徐々に現れてくるんじゃないかなと…。私自身もそうだったように思春期の野郎って、親、特に母親との関係をはっきり出すのにある種の気恥ずかしさってあるよね…。
そう考えてみると、やっぱりこの映画、いい映画ジャン。




(レイザーの家庭内での微妙な距離感にある種の親近感を覚える…)