俺と「木洩れ日の家で」

木洩れ日の家で見たぜ@シネ・リーブル梅田にて。

X-MEN〜ファーストジェネレーション」や「スーパー8」などの話題の大作が公開されている中で、ひっそりと上映されている本作。
公開1、2週目は一日一回のみの上映と、同劇場で上映中の「アリス・クリードの失踪」などに比べると地味に公開されており、年齢層高めの客層でしたが、この映画を映画館で見れて良かったと心から思える素晴らしい作品でした。



ワルシャワの片隅にある屋敷に独りと一匹で住む老婦人アニェラ(ダヌタ・シャフラルスカ )。グラントリノクリント・イーストウッドが演じたウォルト・コワルスキーや、ドライビング・Miss・デイジージェシカ・タンディが演じたデイジー・ワサン同様に、気難しく、頑固で、とっつきにくそうだが、どこか愛らしさもある魅力的なキャラクターで素晴らしい。



作品自体は、本当に老婦人の何気ない日常(朝起きて飯を作り、読書しながら昼寝をし、隣人たちの様子を眺め、たまに訪ねてきた息子家族に悪態をつく)なのですが、モノクロ映像の美しさと前述した彼女のキャラクターの素晴らしさがなんとも言えぬ相乗効果を生み出しており、随所にはっとするシーンがあります。
特に、ある晩、外は暴風が吹き荒れる天候の中で、それまでベットで眠っていたアニェラがおもむろに外に飛び出し、体中に嵐を感じていくシーンがあるのですが、子供ように嵐が来ることへのワクワク感を前面に押し出したこのシーンは、91歳にもかかわらず彼女自身が生を満喫している事を十二分に感じさせ素晴らしいシーンだったと思います。


そしてこの映画のもひとつの見所といえば、愛犬フィラデルフィア(グルメで前世は踊り子)の「こいつただの犬じゃないだろ」と思わせるほどの表情豊かな演技があります。犬ですから当然ながら台詞は一切発しませんが、それでも何かを訴えかけてくるその表情、完全に犬派に転向したくなるレベル。



個人的には今年というか人生でもベスト級の作品。モノクロの映像の美しさをぜひ劇場で少しでも多くの人に見てもらいたいなぁ…。
(先週で公開終了かと思って急いで見に行ったが、今週もリーブル梅田で公開中。リーブル神戸でも今月末より公開。ガーデンシネマでも今月末より公開だが、プロジェクター上映なんだよね…。)